三方一両損

三方一両損はみんなが損する話だけど、3人で1両ずつ分けて三方一両得にした方が良いよねってのを聞いたことがあります。星新一だったかな?

三方一両得の助言をすればお金が貰えるところにうっかり三方一両損の助言をしてしまうと損なので、予めシュミレートしておきましょう。

いつも2人で3両を争っているとは限らないので一般化します。

以下、m(money)両をp(people)人の江戸っ子で分け、必要に応じてお奉行様がb(bugyo)両くれるものとします。

 

1. mがpで割り切れる場合

江戸っ子達だけで等分すれば良いのですから、お奉行様の出る幕はありません。

 

2. mがp+1で割り切れる場合

お奉行様と一緒にみんなで分けます。

(p+1)方m/(p+1)両得です。

 

3. お奉行様がお金を出さなければいけない場合

お奉行様の損はb両。江戸っ子達は本来m両得られるところ(m+b)/p両しか得られていないので差額が損になります。すなわち(p+1)方(m-(m+b)/p)両損です。

この場合を式にすると

    b = m-(m+b)/p

    bp+b = mp-m

    b = (p-1)m/(p+1)

これが整数になるためには、

・mがp+1で割り切れる

・pは奇数かつmが(p+1)/2で割り切れる

のどちらかを満たす必要があります。おや、前者の条件は 2 と全く同じですね……。

前者の例としては、4両を3人で分けるところお奉行様が2両出して四方二両損、後者の例としては、2両を3人で分けるところお奉行様が1両出して四方一両損などがあります。

 

というわけで結果をエクセルにまとめてみました。

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縦軸が押し付けあっている金額、横軸が江戸っ子の人数です。

〇はお奉行様が得できること、数字はその数だけお奉行様が損することを示しています。空白は江戸っ子だけで分け合えるため不成立、- は全員同額の解決法が存在しません。

お奉行様の方々はこれを覚えておけば、「7人で4両を押し付けあってる時は『八方三両損にしよう』とか言われないように逃げた方がいい」なんてことががわかるようになります。

江戸っ子の方々は、5人で6両押し付けあっているところにお奉行様がきたら「六方一両得にしませんか?」と提案される前に「六方四両損にしましょう」と言うことができます。お奉行様にお金を取られるピンチはいつも、逆にお金をせびるチャンスでもあると覚えておきましょう。