タルタリアの三角形
以下の式は、タルタリアの三角形と呼ばれています。
すばらしいですね。私は小学生の頃、これを見て生まれて初めて「数学の美しさ」というものを感じました。
足し算ができれば理解できる感動。全国の小学生にこれを見せれば理系離れも止まると思います。
Excelで作りました。
証明は手垢まみれなので省略します。
さて、昔の私はこの式が大好きで、しょっちゅうノートの隅とかに書いてました。形を変えたら似たようなのができないかとこねくり回していたら、以下のような式を見つけます。
いくらでもできるぞ、と思っていると、以下の場合は成立しません。
成立している式については基本形と同じような感じで個別に証明できると思いますが、やはりここはまとめて証明したいっていうのと「どういう条件で成立するのか」「このような式は無数にあるのか」が気になるところ。
まずは一般化して左辺L(n)と右辺R(n)を以下の様に定義します。
この段階では、項を飛ばすことは考えません。
L(1) = 1 + 2 + ... + a R(1) = a+1 + ... + a+b
L(2) = a+b+1 + ... + 2a+b+1 R(2) = 2a+b+1 + ... + 2a+2b+2
また、各項を縦に見たときの差をd(n)、L,Rの項数をPL,PRとします。
以下は明らかです。
PL(n) = a + n -1
PR(n) = b + n -1
R(n) = R(n-1)の右端項 + R(n) + PR(n-1) * d(n)
L(n) = L(n-1)の左端項 + L(n) + PL(n-1) * d(n)
なので、差を取ると
R(n) - L(n) = R(n-1) - L(n-1)
+ R(n-1)の右端項 - L(n-1)の左端項
+ ( PR(n-1) - PL(n-1) ) * d(n)
= R(n-1) - L(n-1)
+ d(n) ...(※)
+ (b-a)d(n)
= R(n-1) - L(n-1) + (b-a+1)d(n)
※右端項 - 左端項 = (右端項-1) - (左端項-1) = 右端から2番目の項 - 上の段の右端項 = 縦の差
よって、これが常に0になるためには R(1)=L(1) かつ b-a+1=0 となれば良いです。
そのようなものは基本形(1+2=3, ...)しかありません。
次に、項を飛ばすことを考えます。
ある縦一列を k(n) とすると、d(n) の定義から k(n) = k(n-1) + d(n) です。
縦一列を飛ばすというのは R(n)-L(n) にk(n)を足すか引くかすることを意味するので、
R(n) - L(n) ± k(n) = R(n-1) - L(n-1) ± k(n-1) + (b-a+1±1)d(n)
d(n)の係数は、左辺から1項飛ばす度に+1,右辺から1項飛ばす度に-1されます。
これが0になるためには、
右辺全体の項数 - 左辺全体の項数 + 1 + 左辺から抜いた項数 - 右辺から抜いた項数 = 0
<=> 左辺の実際の項数 = 右辺の実際の項数 + 1
左辺の項数 = 右辺の項数 +1 のとき、右辺と左辺の差は常に等しいことになります。
この条件で差が0になる式はいくらでも作ることができるため、三角形も無限に作ることができます。
また、1から始まるという条件は使わなかったので、どこからでも開始できます。
いろいろ作ってみました。
ところで
拡張は他にも考えられます。
これは2項ずつ増やした場合
これは項の飛ばし方を変えた場合
まだまだ楽しめそうです。