指でやるあれ

小学生の頃、指を使ったシンプルな大富豪みたいなゲームが一瞬だけ流行りました。
Wikipedia「手を用いた遊び」の「数字を無くす遊び」です。ルールの説明はしないのでまずこれを読んでください。


エチケットっていうらしいですが聞いたことないし意味不明ですね。私の小学校では名前が付いておらず、「あれ」としか呼んでなかったです。
「手を用いた遊び」に載ってる遊びはいくつか流行りましたが全て無名で、あれをやるときは「あれやろうぜ」と言いながら手をあれの形にしないとあれでした。
そんなあれですが、実は先手必勝とのこと。その戦法は「出せる一番小さい数字を出す」だけ。
えええ、確かに先手有利だとは思ってましたが、そんなしょうもない戦法で勝ててしまうなんてちょっとがっかり。
もうちょっと面白くなってもらうために拡張してみます。
といっても、あれはゲーム理論でいう云々々々々々々々々々々々ゲームなので絶対に必勝法があるんですが、とりあえずは必勝戦法が複雑になれば良いでしょう。
拡張方法はシンプルに指の本数を増やすこととして、まずは先手のワンパターン戦法がどの程度通用するか考えてみます。

 

...えーと、結論から言うと、指が何本あっても「出せる一番小さい数字を出す」で先手必勝でした。
正確に言えば自動勝利ではなくて、「残りが2枚で、そのうち1枚が最強」という勝ち確の形に持っていけます。
以下、証明です。

 

先手と後手の持っている指を以下の様に表します。
    1 2 3 .. N
        1 2 .. n N
上が先手、下が後手。ずれているのは仕様です。
ここから、使った数字を消していきます。まず先手が1を出して
    2 3 .. N
    1 2 .. n N

先手はオートマチックなので後手の視点で考えます。
後手がN以外の数字を出すと先手はそれ+1を出すので、図の縦1列が消えて再度後手番になります。
つまり、最初に後手が取れる選択肢は「縦列1つ選んでを取り除く」を好きなだけ繰り返した後に「最大数を出す」または「パス」となります。
ルール上隣り合う縦列は取り除けませんが、ここではOKとします。
言い換えると、「後手は先手と同じ数字を出しても良い」という後手に一方的有利なルールを追加してもなお先手必勝ということです。

■最大数を出した場合

場は以下の様になっていて、後手の手番です。
    2 X X .. N
    1 X X .. n
全部出していけば1枚差で勝利のように見えますが、実際には最後の2枚になったところで
    A B
    C D
後手のCに先手はAでなくBを出すことでリード権を得てそのまま先手勝利です。
数字を1と2しか使用しない場合は例外で、先手1→後手2→後手1と後手の勝利ですが、その時は最初から先手2で負けます。

後手がどこかでパスすると先手は最小の数字を出し、場は以下の形になります。
       X X .. X
    X X X .. X
さっきよりも不利で、特に後手の最弱カードは一生出せません。
つまり、このプランは必敗です。

■パスした場合

先手が最小数を出し、場は以下の様になります。
       X X .. X
    X X X .. X X
後手が最弱数を出すためには、最強カードで切って出すしかありません。
最弱カードを最後の1枚に残すのは明らかに先手が既に勝っているので、他にもカードを残しておく必要があります。
再び縦列をいくつか取り除いた後に最強数→最弱数と出すと、先手は一番小さい数字を出し、場は
       X X .. X
    X X X .. X
上で見た形。このプランも必敗です。


というわけで、後手がどんなに頭をひねっても先手は寝ながら勝ててしまうわけです。
しかも「後手のみ相手と同じ数字が出せる」どころか、「先手が世界最強カード以外を出したら、後手は何を出しても良い」というぶっ飛んだハンデをつけてもなお先手必勝。こんなん、紛うことなきクソゲーですわ。

 


今後の展望
必勝法がもっと複雑になるような後手のハンデを考えたいですね。
また、「先手がミスをした場合にどうすれば後手勝ちに持っていけるか」を研究すると上級者になれますし、「他の先手必勝法」があれば織り交ぜていくことで相手にばれにくくなります。
両方会得したら絶対無敵のあれマスターですが、小学生でもなけりゃあれを他の人とやることなんて無いですね。黒の組織に出会ったら考えます。
あとは、あれとは違うほかのあれもあれしてみるかもしれません。あれですし。