ババ抜き

ババ抜きは選択肢のない運ゲーのように見えますが、実は戦略もあります。

カードを引かせるときに1枚だけ突出させるとか、引くときにフェイントをかけるとかみたいな心理的要素ではありません。今回はそういうのなしで淡々としたババ抜きを考えます。そんなババ抜きは面白くない、というのは禁句です。

私が前々から考えていたのは「そろったカードを捨てない」という行為(以下、見逃し)がゲームにどんな影響を与えるか、ということ。もちろん自分は不利になってしまいますが、それとは別に、世界にゴミが広がることで他の人へ嫌がらせができます。特に自分の後ろの人は不要カードを引く確率が上がるので強烈に叩くことができそう。例えばババ抜きを何度か繰り返していて後ろの人がトップを独走、自分は2位、みたいなときは自爆覚悟でやってみる価値があるのかもしれません。

 

で、調査の前にグーグル先生にお伺いをたててみたんですが、なんと別の戦略がでてきました。それは「手札の枚数が偶数か奇数かで上がる確率が変わる」というもの。

自分の番にカードを引いてそろわなかった場合は手札の枚数が変わらず、そろった場合は2枚減ります。どちらの場合も偶奇は不変です。初期手札が偶数枚の人は最終的に2枚になり、奇数枚の人は1枚になります。(ただし、最初の人にカードを引かれる人のみ逆になります)

ここで、2枚の人はそのうちどちらかを隣から引いてこれれば最後の1枚を下家に渡してあがりなので有効牌が2つ。1枚の人は有効牌が1枚しかなく、2倍不利だと。

 

ははぁなるほど。っていうか見逃しとかよりよっぽど重要そうですね。私がゲーム中に小賢しい真似をできないかと考えたところで、勝敗は始まる前についていたと。

具体的な確率は調べても出てこなかったので、いつものようにコンピュータをブン回してみました。4人のプレイヤーにカードを配り100万回ずつやってもらうのですが、最初の人が誰かによって偶奇性が変わるので最初の人を変えて4セットやります。

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うわー、おっそろしい差。今までこれを知らずに散々騙されてきたと考えるとぞっとしたりしなかったりですわ。

 

というわけで本題の見逃しに移るわけですが、公平を期すために全員奇数枚スタート(図の2段目)とします。

また、見逃す条件ですが、簡単に「初期手札から全く捨てない」「引いてきたカードでそろったら捨てる」とします。実際にやる際も、引いてきたカードと別のを捨てると怪しさ爆発なのでこんなもんでしょう。

見逃し者を1人配置し、先ほどと同じように100万回やってみた結果がこちら

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後ろの人が有利になってる。想定と逆の結果か……。

後ろの人目線で考えると、「自分の欲しいカードを、本当は前の人が持っていないはずなのにくれることがある」というメリットと、「ゴミカードを渡されやすくなる」というデメリットがあり、デメリットは「ゴミカードと同じ数字をすぐ前の人が持っている」という理由で薄くなっている、というのが正しいのでしょうか。

つまり、見逃しは前の人を攻撃する戦略だったわけです。そう考えて上の表を見てみると、えー、うーん。。。

 

 

今後の展望

ペアを見逃すことについて、「ゲームを長引かせることになるので、初手でジョーカーを持っているときに効果がある」と書いている文章がどっかにありました。

今回の条件で実際に検証してみたところでは初手ジョーカーの有無は勝率に影響していませんでしたが、条件を変えてみると結果も変わるかもしれません。見逃しがどの程度ゲームを長引かせるのか、ゲームの長さによってジョーカーはどのように移動するのか、を調べる必要があります。

また、見逃しはジジ抜きでこそ効果を発揮するとも考えられます。早い段階でジジを特定し、2枚持っておけば3枚目を渡されても次の人に渡せる確率が3倍。渡してから「そろってたのに気づかなかった」とか言ってしれっと捨てれば強いに違いありません。いや、そうでもないか。

暇なときにでも考えるかも。